この記事のまとめ
人事規定の片隅に見つけたボランティア休暇制度…
ボランティアを理由に休職できるらしいけど、出世に不利になるのでは?
実際に取得した経験に基づいてボランティア休暇のキャリアへの影響について解説します
興味はあるけど周りに経験者がいない、という人は是非参考にしてください
せっかく就職活動中に海外アピールをしたのに配属されたのは国内部署…
- 世界中を飛び回るビジネスマンになりたい
- 途上国の生活を支えるような仕事をしたい
- 学生時代の海外経験を活かして活躍したい
期待に胸を膨らませて入社したのに「国内で仕事を覚えてから海外」と言われて失望する人も少なくないはずです。
そんなとき人事規定にボランティア休暇制度を見つけたらどうします?
会社の制度なら辞める必要もないしいいんじゃないの?
リスクは低そうだけど給料や出世への影響は見極めないとな
私は実際に、会社のボランティア休暇制度を利用して2年間の海外ボランティアを経験しました。
果たしてボランティア休暇は本当にイイトコドリのお得な制度なのか?
自身の経験も踏まえ、ボランティア休暇の表と裏を包み隠さず解説します。
もくじ
ボランティア休暇とは?メリット・デメリット
ボランティア休暇とは会社が環境保護活動や災害復興支援活動などの社会貢献活動を目的とした休暇を社員に認める制度のことです。
従業員が自発的な社会貢献活動に積極的に参加できるよう、厚生労働省もガイドラインを出して企業に積極的にボランティア休暇制度を導入するよう呼びかけています。
長年働いているけどこんな制度があるなんて知らなかったな
まだまだ周知されるには時間がかかるのが現状だね
例えば東日本大震災などの災害が発生したとき、現地に赴いて被災地の支援をしたい場合どうしたらいいのか?
ボランティア休暇制度さえあれば会社を辞めることなく社会貢献活動に参加にでき、また、終わり次第スムーズに復職することが可能です。
そんなボランティア休暇によって得られるメリット・デメリットはどのようなものがあるのか?
会社、従業員、それぞれの立場に立って具体例をまとめました。
会社のメリット・デメリット
会社にとっての一番のメリットは企業イメージの向上です。
従業員をボランティアに送り出す懐の深い企業として、新卒採用や株主総会の場でアピールポイントになるでしょう。
また、寛容な姿勢が従業員の会社に対する帰属意識の向上にもつながるでしょう。
一方で休暇期間中の労働力を失うことは会社にとってデメリットになります。
そのため、ボランティア休暇制度を導入するのは人材にある余裕のある企業に限られるのが実情です。
逆に言えば、制度があることは十分な組織力を持っていることの証になるかもしれません。
従業員のメリット・デメリット
色んなことに挑戦してみたいけど、会社を辞めるリスクまでは負えない…
そんな従業員にとって一番のメリットは休暇の扱いで社外の活動に参加できることです。
社外ネットワークでの幅広い経験を通じてコミュニケーション能力やリーダーシップの向上が期待できます。
更に、海外ボランティアであれば語学力も身につけられるのが魅力です。
一方のデメリットは休暇中の収入や人事評価の不安です。
会社にもよりますが、ボランティア休暇中も100%給料を出してくれるような会社はほとんどありません。
また、長期休暇の取得を機に出世コースから外れる不安もあります。
人事規定をよく読みボランティア休暇がキャリアに与える影響を事前にチェックするよう心がけましょう。
ちなみに私はここの確認が足らず、休暇を理由に驚くほどの低評価をつけられてしまいました。
▼次の関連記事に休職を理由に評価を下げられた経験をまとめています
【不当】休職しただけで評価が下がる?ボーナス最低評価の経緯ボランティア休暇を取得する際の注意点
会社の規定に書かれている制度だから安心かな?
厚生労働省からガイドラインも出ているんだから大丈夫だろう…
と、早とちりするのは少し待ってください。
このように安易にボランティア休暇制度を利用すると思わぬ不利益を被るかもしれません。
前もって準備しないと会社に混乱を招く恐れがあるよね
少なからず負担をかける上司や同僚とのコミュニケーションも慎重にな
ボランティア休暇そのものよりも休暇後のキャリアの方が先は長いし重要です。
そこで長期的な視点でボランティア休暇を取得する際の注意点を紹介します。
将来のキャリアも見据えた上で取得するかどうかの判断をしましょう。
人事規定チェックリスト
一口にボランティア休暇といっても、制度の内容は会社によってバラバラです。
私の知る限り、給料やボーナスは出ないことがほとんどかと思います。
また、ボランティアといっても特定の宗教活動や政治活動などは休暇の対象として認められない場合があります。
なのでボランティア休暇に関する社内規定は必ずチェックするようにしてください。
特に以下の取り扱いついては要確認です。
- 給料やボーナスは出るのか?
- 社会保険は会社が負担してくれるか?
- 休暇期間中は退職金の勤続年数に加算されるか?
- その活動内容で本当に休暇が認められるのか?
- 復職が義務付けられていないか?
上司に相談するタイミング
休暇を取得すると、穴埋めのためにチームの同僚に負担をかけることは避けられません。
そのため、円滑に休暇を取得するには普段からチーム内で良好な関係を築く必要があります。
特に上司へ休暇取得を相談するタイミングは非常に重要です。
上司としては貴重な人材を外に出したくないのが本音なので、簡単に休暇を認めてくれないかもしれません。
- ボランティア活動を通じて新しいスキルを身につけたい
- 復職後はその経験を活かして一層会社に貢献したい
- 活動内容を会社に報告するなどしてイメージ向上にも役立てたい
このように会社が得るメリットをいかにアピールするかがポイントです。
復職後のイメージ
ボランティア期間は数ヶ月か、長くて2年くらいでキャリア全体からみたらほんの短い期間しかありません。
休暇期間の過ごし方だけでなく復職後のキャリアプランまで具体的にイメージしておくようにしましょう。
- 海外ボランティアで英語力を見につけて海外営業を目指す
- 環境保護活動の経験を活かして環境に優しい製品の開発に携わる
- 医療現場の支援から復職して福祉部門への異動を願い出る
このようにボランティア活動の内容と復職後の仕事とが直結するようなキャリアイメージを描けるのがベストです。
ボランティア休暇を取ってみた感想
私自身の経験についても少しお話します。
私は青年海外協力隊という海外ボランティアプログラムに参加するためにおよそ2年間の休暇を取得しました。
会社が定めるボランティア休暇制度の内容に沿って、申請もスムーズに完了しました。
2年間もの長い間海外に行けたなんてうらやましい!
海外ボランティアなら復職しても語学力を仕事に活かせそうだな
ところが、休暇直前にもらったボーナスを見て驚愕しました。
なんと、休暇直前のボーナスで最低評価をつけられていたのです。
上司には復職後の会社のメリットもきちんと説明したつもりだったのですが、残念ながら納得してもらえなかったみたいですね。
このような事情もあり、結局、ボランティア休暇後は復職せずにそのまま転職しました。
評価を下げられたのは「もう会社に戻ってこなくていい」というメッセージだと受け取ったからです。
帰国と同時に辞意を伝え、すぐさま転職活動に入り、有給消化期間中に無事内定を得ることができました。
幸いにも海外ボランティアの経験は面接で高く評価され、元いた会社より給料も職位も大幅にアップでした。
ボランティア休暇を理由に不当な人事評価をするような会社の場合、転職を視野に入れる覚悟も必要かもしれません。
▼次の関連記事に休職期間中に転職活動をするメリットについて解説しています
ボランティア休暇でキャリアアップ!
会社と自宅を往復するだけのサラリーマン生活は自分が思っている以上に世界を狭めます。
そんな自分にとってボランティア休暇は視野を広げる貴重な機会になりました。
サラリーマンは人間関係も限定されて息苦しいからね
社外に出ると自分のキャリアを客観的に見つめなおすこともできるぞ
もちろん社会貢献することも大事ですが、自分の人生を充実させることも同じくらい大事なことです。
- 活動を通じて身につけたスキルや経験
- 社外ネットワークで得られた人脈
- 仕事以外で出会った仲間と呼べる存在
このようなボランティア休暇を有効活用すればキャリアアップも実現可能です。
刺激的な非日常で起きる1つ1つが、人生に影響を与えるきっかけにつながります。
もちろんリスクは少なからずありますが、同時に挑戦する価値も十分にあると思います。
もしボランティア休暇を取ろうかどうか迷っている場合は、是非勇気を出して一歩踏み出してみてください。